個人で仕事を請け負って自由に働くフリーランス。
ここ数年でよく”フリーランス”という言葉を耳にするようになりましたが、その人口や実態はどうなっているのでしょうか。
この記事では、日本におけるフリーランスの現状や、フリーランスとして生活していくために大事なポイントを解説していきます。
これからフリーランスを目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自分にぴったりのフリーランススキルは?
フリーランスは何人に1人?
日本には、一体フリーランスは何人いるのでしょうか。
以下に詳しく解説していきます。
フリーランスの人口・割合
結論から言うと、日本の労働者のうち、約4人に1人がフリーランスとなっています。
ランサーズによる「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」によると、2021年におけるフリーランス人口は1577万人とされており、これは全労働者の約22.8%となっています。
2020年は1062万人だったのが、コロナ禍をきっかけに急増していることもわかります。
年代別のフリーランス割合
フリーランス白書2023の調査によると、フリーランスの年代別の割合は40~45歳未満が19.8%で最も多く、次いで45~50歳未満の17.3%となっています。
フリーランスになるまでの就業年収は10年前後が多いのが現状です。
そのため20代ではまだフリーランスになる人は少なく、逆にキャリアや経験を詰んだ40代以降で独立し起業する人が多いと考えられます。
フリーランス人口が増えている理由
フリーランスの人口はなぜこんなに増えてきているのでしょう。
先ほどコロナ禍をきっかけに急増していることにも触れましたが、以下のような理由も挙げられます。
フリーランスが増えている理由
- 働き方の多様化、柔軟性向上
- 副業・兼業の促進
- IT人材の需要が増加
- フリーランス向けサービスの充実化
- リモートワークの普及
政府の働き方改革により、より柔軟な働き方への需要が高まっていることも、大きな要因として考えらえます。
実際、GMOクリエイターズネットワークの株式会社「現役会社員が持つフリーランスという働き⽅のイメ ージについて調査において、”会社員の約半数が「フリーランスになりたい」と回答”とし、理由として「今より稼ぎたい」「働く場所と時間を自由に選びたい」が多く挙げられています。
また、フリーランスは急増してはいるものの、特に需要が拡大し続けるIT業界においては人材不足が問題となっているため、増えすぎということはありません。
むしろIT系人材を増やすために、厚生労働大臣の指定を受けた講座を持つプログラミングスクールでは、政府から”教育訓練給付制度”として助成金が出る制度があります。
それを機に、プログラミングスキルを身につけてフリーランスになる人も増えています。
需要拡大と、より自由な働き方を求めて、今後もフリーランスの数は増え続けることが考えられます。
フリーランスを守るフリーランス保護新法
フリーランスが増えるとともに、フリーランスならではのトラブルや問題も増えてきたため、「フリーランス保護新法」の施行が2024年11月1日に予定されています。
フリーランス保護新法の目的は、大きく2つに分かれます。
フリーランス保護新法の目的
- フリーランスと発注者の間の取引の適正化を図る
- フリーランスの就業環境の整備を図るここに内容
その内容については以下の通りです。
フリーランス保護新法の内容
- 発注業者から契約条件を書面、またはメールで明記して提出する
- 成果物を受け取って検品完了後、60日以内に報酬を支払う
- SNSや広告などで業務委託先を募集する際は、正確で最新の情報を表示する
- 業務委託を行う事業者による、フリーランスに対する不当な扱いを禁止
- フリーランス側の申し出によって、育児・介護などと業務の両立に配慮する
参考:https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf
これにより、フリーランスにとって働きやすい環境が整っていくことで、さらにフリーランスの数は拡大していくことが見込まれます。
今からフリーランスになっても稼げる?
「こんなにフリーランスが増えているなら、もう稼げないのでは…」
フリーランスが増えすぎているという情報を見て、不安になっている人も多いかもしれません。
ですが安心してください。
フリーランスの人口は増えていますが、それと同時に仕事の種類の多様化が進み、個人でできる仕事も増えています。
またIT業界はまだまだ人材不足が見込まれているため、そちらの需要は特に高く、仕事の単価も高い傾向にあります。
需要・年収が高い傾向にあるフリーランスの職種を以下にご紹介します。
需要が伸び続けているフリーランス職種
需要が伸び続けている職種について解説します。
ITエンジニア系
拡大し続けるIT業界において、人材不足が常に問題となっています。
そのため即戦力となるフリーランスの需要がとても高い傾向にあります。
エンジニアといっても非常に幅広く、特に人工知能・IoT・VR関連などが求められている状態です。
クリエイター系
Webやメディア、SNS運用や動画編集など、ネットを利用したPRはどんどん増え、需要が高まっています。
広告だけでなく、イラスト、建築、カメラ、服飾関係など、何かを生み出すことができればジャンルは問わず活躍の機会は多いのが特徴です。
マーケティング系
市場調査やデータ分析から、顧客に対する効果的な広告・販売促進を行います。
SNS発信の活用が拡大したことから、Webマーケティングに力を入れる企業も増え、マーケターの需要も増加しています。
接客系
未経験からでも始めやすいのが接客系で、個人のスキルや営業力によって需要は大きく左右されやすいです。
特に需要が高いのは美容師や占い師、インストラクターなどが挙げられます。
ただし、集客のためにはある程度の知名度が重要にはなってくるため、需要が高まる戦略を考える必要はありそうです。
それぞれの職種についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
年収が高いフリーランスの職種
ランサーズによる「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」によると、年間報酬の最も高いフリーランスの職種として「士業」が挙げられています。
フリーランスの士業として適性が高いのは「司法書士」「土地家屋調査士」「社会保険労務士」などがあります。
いずれも合格率4~8%という難関資格であることから、競合が少なく、独立することで高い年収を狙いやすいのが特徴です。
また次に年間報酬が高いのが「経営・企画職」であり、高い専門知識が必要にはなりますが、その分高単価の案件が多いのも特徴です。
フリーランスとして稼ぎ続けるためのポイント
需要はあるものの、フリーランスとして稼ぎ続けていくために押さえておくべきポイントがあります。
自分の価値を高める
個人で稼いでいくためには、自分の価値を高め信頼を得ていくことが重要です。
仕事をお願いする側も、誰なのかよくわからない人をいきなり信頼し、良い条件でお願いしたい、とはなかなかなりにくいものです。
実績を作ってアピールしたり、ポートフォリオでどんなことが得意かなど見てもらったりしながら、セルフブランディングに力を入れることで「この人にお願いしたい!」「ぜひお金をかけたい!」と思ってもらえるようになります。
コネクションを作っておく
実はフリーランスが仕事を獲ってくる経路としては、人脈からが最も多いとされています。
会社員のうちに同僚や先輩を通してコネクションを作っておくのも大事ですが、フリーランスになってからもコネクション作りは意識した方が良いでしょう。
今はSNSやビジネス用のマッチングアプリで、同じような志の人とも気軽にコミュニケーションが取れたり、交流会・セミナーに参加することで繋がりを築いたりすることもできます。
リスク分散しておく
案件はなるべく一つに集中してしまうのではなく、いくつかの案件を持っておくようにして仕事がなくなるリスクを最小限に抑えることも一つです。
収入源を複数にすることでリスク分散し、仮に案件が打ち切りになったとしても他でカバーできる状態を作っておくと安心です。
学び・スキルアップし続ける
フリーランスは自分次第で報酬が変化します。
フリーランスとして生活を続けていくためには、信頼獲得・質の高いサービスを提供できるようにスキルアップし続けることが大切です。
結果を出し続けることで、多くの人に「お願いしたい!」と思われるフリーランスを目指していきましょう。
フリーランス楽しすぎ!という人の特徴
フリーランスになってよかったと思える人の特徴は以下の通りです。
自由な働き方を最も重要視している
フリーランスになると、会社員のような安定した収入は望めません。
それでも、自由な働き方や時間の使い方ができるということが、フリーランスになった人たちの中でも最も満足度が高い要因となっています。
少しくらい収入が低くても、自由に働ける方がいい!と思える人は、フリーランスを楽しむことができるでしょう。
向上心が高い
フリーランスは、自主的にスキルを磨きながら、自分で仕事を見つけて獲りにいくのが主流です。
そのため、誰かの指示を待って言われたことをやっていればいい、という考えではフリーランスは楽しめない可能性が高いです。
全部が自分の成長のためになると思って、困難も乗り越えてスキルアップしていく向上心があるひとはフリーランスを楽しいと思うことができます。
新しいチャレンジが好き
フリーランスになると、やったことがない仕事にも挑戦しなければならない時が出てきます。
例えば、専門スキルがあっても営業する必要が出てくれば営業について勉強をしたり、事業拡大のためにマネジメントスキルを身につけたりなど、新しいチャレンジが必要になる場面が出てきます。
立ち止まらずに、新しいことにも挑戦できるような人はフリーランスが楽しいと感じられるでしょう。
自己管理ができる
フリーランスは自由の代わりに、時間や体調などの管理を全て自分で行う必要があります。
仕事とプライベートの境界も曖昧になりがちだからこそ、働きすぎて体調を崩したり、逆に仕事が進まなくてクライアントからの信頼を失ったりというリスクも存在します。
自己管理がしっかりできる人は、会社員のように縛られる生活よりも快適に過ごすことができるためフリーランスが楽しいと思うようになります。
フリーランスになって後悔する人の共通点
フリーランスやめておけばよかったと後悔する人の共通点は以下の通りです。
収入が何よりも大事
フリーランスは毎月安定した収入が得られない場合の方が多いです。
そのため人生において収入を重要視している人は、フリーランスになってから後悔する可能性が高いです。
収入のために、という目的で頑張る原動力を得る人もいますが、思うような収入に繋がらなかった時にメンタル的にも不安定になりやすいかもしれません。
プレッシャーに弱い
自分のスキルや納期のことでプレッシャーを感じるというフリーランスは少なくありません。
フリーランスを目指す以上、ある程度のプレッシャー耐性を備えておかなければ、「辛い…」と思うこともあるかもしれません。
自由である分、営業や納品など全てのことを責任を持って行う必要があります。
現状維持で良い安定思考
変化の少ない安定した生活を求めている人は、フリーランスになると後悔するかもしれません。
「現状維持は退化」という言葉があるように、フリーランスが現状満足して努力することをやめてしまうと、すぐに他の人に仕事を取られてしまう可能性が高いです。
そうならないためには、定期的に目標を見直して、自己研鑽を続けていく姿勢がフリーランスにとって重要になってくるでしょう。
好きなことだけできると思っている
「フリーランス=自由」という概念から、好きなことだけやっていれば仕事になると考えている人は危ないです。
フリーランスは、事務的な作業や営業、雑務など多岐にわたる仕事を1人で行う必要があります。
SNSのインフルエンサーなどを見ていると、「好きなことだけやっていて楽しそう」と見えるかもしれませんが、その裏では地味な作業や泥臭い努力が隠れています。
それも含めて楽しめるように、好きなことを仕事にする、以外の目的もあるとフリーランスが楽しめるようになるでしょう。
フリーランスの末路
増えすぎと言われるフリーランスですが、フリーランスになった人たちは最終的にどうなっていくのでしょうか。
以下にご紹介しますので、自分がどこを目指すのか考える時の参考にしてみてくださいね。
自営業系独立オーナーになる
業務委託ではなく自分自身のビジネスを持ち、経営する個人のことを指します。
1人で全ての事業を運営するため忙しくはなりますが、フリーランスとしての年収は最も高い傾向にあります。
課税所得が900万円を超えた時は、節税のために法人化する人が多いです。
副業系スキマワーカーになる
雇用されている本業の他に、隙間時間で副業をするフリーランスのことを指します。
安定した収入源は確保しつつ、副収入を得る働き方になります。
自由業系フリーワーカーになる
自分の専門スキルを活かし、個人で仕事を請け負うフリーランスです。
特定の勤務先がないため、完全に独立した状態で自由な働き方を実現しています。
複業系パラレルワーカーになる
2つ以上の会社と契約を結んで仕事をするフリーランスのことを指します。
雇用形態は決まっておらず、複数のプロジェクトを同時に進めることで多角的にキャリアを築いていく働き方をしています。
廃業し会社員に戻る
フリーランスとしての生活が難しい…となれば廃業して会社員に戻るのも一つの手です。
中小企業白書によると、個人事業主(フリーランスで開業届を出している人)のうち、10年後まで生き残るのは1割程度だとされています。
廃業率を見てみると、1年で37.7%、3年で62.4%とされています。
つまり、フリーランスになって1年後、3人に1人は会社員に戻る判断をしていると言えるでしょう。
まとめ|フリーランスが増えすぎていても稼げる
増えすぎと言われるフリーランス、その実態について解説しました。
フリーランスは増え続けていますが、まだまだ需要の高い職種もあり、稼げるかどうかは結局個人のスキルに委ねられる部分も多いです。
自分がフリーランスになってどうしたいのか、将来的にどうなりたいのかはしっかりと突き詰めた上で、自分にとってより良い判断ができるようなるのが良いかもしれません。