「ブラック企業に就職したくないけど、ブラック企業に当てはまるのってどんな企業?」
「自分の会社ってブラック企業なのかな?転職してまたブラック企業だったらどうしよう…」
ワークライフバランスが崩れたり、無理な労働やプレッシャーによって心身が疲弊してしまったりするような働き方を強いるブラック企業。
この厳しい労働環境にい続けることで、最悪うつ病にかかり、取り返しのつかないことになってしまう可能性もあります。
これから就職・転職を考えている人は、事前によく見極めるためにもぜひこの記事を参考にしてみてください。
ブラック企業とは?
厚生労働省による「ブラック企業の定義」はないものの、労働者に対して当たり前のように長時間労働を強いる、残業代なし、低い給与で休みも取れない…といった違法が横行する劣悪な環境で働かせる企業のことを一般に「ブラック企業」といいます。
「ブラック企業に入ってもすぐ辞めればいいじゃん!」という簡単な問題ではなく、一度入ってしまえば辞めるのが難しいと感じる人は多いです。
ブラック企業をやめられない理由には以下のものが挙げられます。
ブラック企業を辞められない理由
- 新卒で入社した場合、ブラック企業が基準になってしまい異常さに気づけない
- 拘束時間が長すぎて社外の人と話す時間がなく異常さに気づけない
- 環境改善を訴えても変わる気配がなく諦めてしまう
- 辛いのは自分が無能なせいだと思い込んでしまう
- 転職を考えても、ちゃんとした転職先が見つかるか不安
- そもそも転職活動する時間がない
これらは一例であり、辞められない理由は他にも多くあります。
では、ブラック企業に入社してしまうと実際はどんなことが待ち受けているのか、以下の体験談をみてみましょう。
ブラック企業に入社した人の体験談
ブラック企業に入社した人の体験談を以下にご紹介します。
体験談①Kさん:休憩、手当、残業代なしの激務ブラック企業
入社初日から、ひっきりなしの電話対応に追われ、残業をして昼休憩も30分しか取れなかった時、すぐに「あれ?」と感じました。契約上は1時間の休憩があるはずですが、実際には30分取るのがやっとです。シフトの遅番では23時まで働く日もあり、深夜手当が契約書に記載されているにもかかわらず、一度も支給されたことはありません。もちろん、残業代も全く出ません。繁忙期には終電を逃すことも頻繁にありました。
早く辞めたい気持ちはあるものの、転職活動をする余裕すらないのが現実です。入社前は「ブラック企業なんてすぐ辞めればいい」と考えていたものの、いざその環境にいると考える時間も余裕もないまま、続けてしまうものですね。
体験談②Fさん:まともな休日はなく、泊まり込み残業当たり前のブラック企業
帰宅できるのは週に2回だけで、泊まり込みの残業が当たり前のように続いています。帰ろうとすると、社長が「ふーん、帰るんだ」と圧をかけてくることも。土日も接待や取引先の手伝いなどで、まともな休日はほとんどありません。
それで年収400万円。私の役職はマネージャーですが、上には500万円の人が2人いるだけです。社員30人で年商15億円もあるのに、過去の社長の借金があるせいで余裕がないようです。さらに社長は県内でも有名な存在なので、退職すると「あんな良い会社を辞めたのか」と他から悪く思われそうで、辞めにくいのが現状です。イメージコントロールが強すぎるんです。
体験談③Bさん:パワハラ当たり前、平均残業時間100時間のブラック企業
当時は、今ほど「ブラック企業」という認識がありませんでした。月の平均残業時間は100時間、多い月には300時間を超えたこともありますが、残業代は一切なし。仕事が終わるのは午前2時や3時が多く、その後も強制的に飲み会に参加させられ、朝5時頃まで飲むことが週に数回ありました。
上司にはよく怒鳴られ、胸ぐらをつかまれることや、服を破かれることもあり、一発芸を強要される場面もありました。それでも退職理由は別の要因で、労働環境にはそこまで強い不満があったわけではありません。ただ、飲み会だけは嫌でしたね。
体験談④Oさん:有給休暇は抽選制のブラック企業
最も納得がいかないのは、有給休暇が抽選制で、自分の希望する時に取れないことです。有給は好きな時に、どんな理由でも取れるはずなのに、会社側が人数枠を設け、その枠を超えると取れません。人手が足りないのなら、それを補うのが会社の責任だと思います。公平にあるはずの権利を制限されることが本当に嫌でした。
体験談⑤Yさん:年間休日80日・長時間労働のブラック企業
基本的に残業はありませんが、夜9時に帰宅し、翌朝5時に起きるようなシフトがあることも。年間休日は80日程度で、連休は取れません。責任者の年間休日が120日あるのに、自分の休みは少ないです。また、有給休暇を取得すると公休日が1日減るため、実質的に有給の意味がなくなります。作業服も辞めた人のお古で、休憩時間には仕事と関係のない勉強会に参加させられたりと、気が抜けません。
体験談⑥Tさん:上司の罵声が飛ぶ会議、月1で退職者が出るブラック企業
入社初日に、「この会社、大丈夫か?」と感じた瞬間がありました。その日は社内の全体会議があり、そこで社長が全社員に向かって罵声を浴びせていました。皆うつむいて黙っているだけで、後で分かったのですが、ここでは上司が部下を罵倒するのが日常茶飯事で、誰も助けないのが常でした。
デスクを整理していた時、引き出しの奥から過去の退職者の名刺が何枚も出てきて、さすがに驚きました。この会社では月に一度誰かが辞めていると知り、私も半年で退職を決意しました。その間にも多くの同僚が辞めていき、今でも常に「社員募集」の広告が出ています。
ブラック企業のやばい特徴11選【入社前に要チェック】
ブラック企業に入社しないように、また今の会社に違和感を覚えたら、「ブラック企業の特徴」をすぐにチェックしましょう。
ただし、求人票の記載と、いざ入社する時の条件が異なるという可能性もあるため、求人票の情報を鵜呑みにして判断しないように注意が必要です。
過度な残業が常態化している・残業代が出ない
労働基準法では、1日8時間・週40時間以上の労働は法定時間外労働とされ、割増賃金の支払いが義務付けられています。
さらに、残業については月45時間、年360時間が上限とされており臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません。
しかしブラック企業では、月100時間以上の残業が常態化し、深夜帰宅、なんなら終電をのがしてしまう…なんてことが頻繁に起こるのです。
これに対して、「自発的な残業」と見なして残業代が支払われない、また、名ばかりの管理職に昇進させることで残業時間をを払わない手口もあります。
働いた分に正当な賃金が支払われていない場合は、違法労働の可能性が高いでしょう。
休日が少ない、または不定
労働基準法では、少なくとも週1日、4週間で4日以上の休日を与えることが義務付けられています。
求人票では、【年間休日114日以上】の記載があればブラック企業の可能性は低くなります。
しかし、ブラック企業では「繁忙期だから」「人手がたりないから」と休日出勤が横行し、代休がない場合も少なくありません。
「週休二日制」は週2休みではない
- 完全週休二日制=1年間を通して、毎週必ず2日間休める
- 週休二日制=1年間を通して、月1回以上、週に2日間休める(他の週は1日休み)
有給休暇が取得できない、取得しづらい
有給休暇は労働者の権利であり、6か月以上勤務した従業員には年間10日以上付与されることが義務付けられています。
しかしブラック企業では「代わりの人を見つけること」などの条件をつけられたり、「うちは有給休暇がないから」と上司に言われたり、取得が困難なケースが多いです。
「有給取れない」は違法
”入社日から6ヶ月以上継続勤務していて、8割以上出勤している”という条件を満たす労働者は全て有給休暇付与の対象です。試用期間や契約社員、パートタイマーも含みます。
給与が正当に払われない
労働基準法では、働いた分に対しては毎月必ず賃金が支払われるべきであり、残業手当や深夜手当も適切に支払われることが義務付けられています。
しかしブラック企業では、残業や深夜労働があっても残業代・深夜手当が支払われず、業績が良くても会社の都合でボーナスが削られることが多くあります。
労働基準法37条「割増賃金」
- 時間外労働→通常の賃金の25%以上
- 時間外労働のうちつき60時間を超えた場合→通常の賃金の50%以上
- 休日労働→通常の賃金の35%以上
- 深夜労働→通常の賃金の25%以上
離職率が異常に高い
ブラック企業では離職率が異常に高く、常に人手不足な場合が多いです。
求人が頻繁に出ていたり、会社のホームページのトップに「採用情報」が載っている場合は疑ってみても良いでしょう。
このような企業では、求人票と実際の業務環境に大きな差がある場合が多いです。
上司や経営者のパワハラが普通にある
職場におけるパワハラは禁止されており、会社は労働者に健全な労働環境を提供する義務があります。
しかし、ブラック企業では上司から部下への暴言、人格否定、侮辱的な発言をするなどのパワハラから、身体的な攻撃をするようなパワハラもいまだに存在し、誰もそれを止められないことが多くあります。
ネオマーケティングのパワーハラスメントに関する調査によると、労働者1000人のうち、「パワーハラスメントを受けたことがある」と回答した人の割合は42.4%にもなります。
明確な仕事内容や業務範囲が示されない
企業は、入社前や面接時に業務内容を明示する義務がありますが、ブラック企業では入社時の説明と異なる業務を押し付けられ、「なんでもやれ」という曖昧な指示が出されることがよくあります。
このような環境では責任の範囲もあいまいで、業務量がどんどん膨らむことが多いです。
求人票の業務内容があまりにも抽象的な場合は注意が必要です。
募集要項や上司の言葉に「やりがい」「やる気」「成長」
ブラック企業では、安い賃金で高い目標・過剰なノルマを課すことが多々あります。
人件費を極限まで抑えて、なるべく会社の利益を大きくしようとしているのです。
それに対して、「やりがい」「やる気」「成長」といった言葉を使うことで正当性を保とうとし、何かと「頑張るって言ってたよね?」と都合よく引き合いに出してコキ使います。
やる気と根性だけではどうにもならないこともお構いなしにそういった考えを押し付けてくるので注意が必要です。
プライベートへの介入がある
労働者のプライベートは守られるべきものであり、休日の予定、家族のことなどを根掘り葉掘り聞いたり、勤務時間外のイベントや飲み会に強制参加を求めたりすることは不当です。
しかし、ブラック企業では、プライベートなことも必要以上に聞いてきたり、イベントに参加しなければ評価が下がるなどの過度のプライベートへの介入がある場合があります。
こう言ったものは、会社の「風通しの良さ」が名目で行われることが多いです。
採用条件と実際の待遇が異なる
企業は、求人票や面接で提示した条件を守る義務があります。
しかしブラック企業では「年間休日120日」と記載があっても実際には「休日は100日で残りの20日は有給」、「毎週のように休日出勤」など、求人内容と現実が異なることがあります。
入社前に、待遇や福利厚生が本当に約束通りか、もう一度確認するのが賢明です。
謎の精神論の押し付けや洗脳
「頑張ればできる」
「昔は俺もそうだった」
「みんな大変なんだから」
「体調不良は甘え」
「ミスは寝ないで取り返せ」
「給料払ってるんだからもっと尽くせ」
「⚪︎⚪︎ならこれぐらいできるよね」
こういった謎の精神論で労働者を無理に働かせようとするのはブラック企業の典型です。
合理的でない精神論が幅を利かせる職場では、無理をせずに転職の検討も視野に入れるのが良いでしょう。
ブラック企業に入社する人あるある
ブラック企業に入社してしまう人は、すき好んで「ブラック企業で働こう!」と考えて行動したというより、「気づいたらブラック企業だった…」という場合がほとんどです。
では一体どんな人がブラック企業に入社してしまいがちなのか、その特徴をまとめたので、一つでも当てはまっている人は注意しましょう。
スキルや学歴・経歴に自信がない
自分のスキルや学歴・職歴に不安を感じていると、「この企業で採用してもらえただけでありがたい」と考え、不利な条件でも受け入れやすくなってしまいます。
転職者であれば、転職回数が多いなどで履歴書に自信が持てない場合も、採用の機会を逃さないためにブラック企業に入りやすくなってしまうことも多いです。
企業分析や情報収集が不足している
企業の雰囲気や実態を調べる手間を省いてしまうと、ブラック企業を見極めるのが難しくなります。
「なんとかなるだろう」と楽観的に考えたり、長期の就職・転職活動に疲れて情報収集を疎かにしてしまう場合も、リスクのある企業に気付けずに入社してしまう原因になりがちです。
キャリアプランの軸が定まっていない
自分のキャリアの方向性がはっきりしていないと、職場選びも曖昧になり、周囲の意見や一時的な情報に流されてしまうことがあります。
友人や家族の「良い会社らしい」という評判だけで判断してしまったり、採用条件の甘さに惹かれて条件を十分に確認せずに入社を決めてしまうことも少なくありません。
自己主張が苦手で遠慮がちな性格
面接や入社前の質問で、待遇や働き方について具体的に確認できず、疑問点を残したまま入社してしまうケースです。
入社後も過酷な条件に疑問を持っても言い出しにくく、そのまま耐えてしまうことでブラック企業にとどまりがちです。
経済的に余裕がない
これは転職者に多いですが、生活費や支払いに追われていると、収入を得るために早く就職しなければならず、慎重に企業を選ぶ余裕がなくなります。
そのため、条件の悪いブラック企業でも「今はここで我慢しよう」と妥協してしまうことがあります。
ブラック企業に入社しないための対策
では、ブラック企業に入社しないためにはどんな対策をすれば良いのか、以下に解説します。
何も考えずに就職・転職しない
就職・転職活動では、まず自分のキャリアプランや人生の目標を明確にしましょう。
「どんな経験を積みたいのか」「どんなスキルを伸ばしたいのか」といった軸をしっかり持っておくことで、企業選びの際に妥協せずに判断できます。
いざ内定をもらっても、経済的なプレッシャーから焦って入社を承諾してしまうのも注意です。
冷静に自己分析を行い、希望の職場環境を具体的に持つことが大切です。
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口コミサイトで会社の評判を調べる
入社前に会社の実態を知るためには、企業の口コミサイトをチェックすることが有効です。
具体的な業務内容や社内の雰囲気、待遇についての情報が載っていることが多く、現役社員や元社員のリアルな声が確認でき、「大体口コミの通りだ」と評判です。
そのため口コミサイトをみて「離職率が高い」「残業が多い」などのネガティブな情報が多い場合は要注意です。
ただし、一部の意見に偏らず、さまざまな口コミを総合的に判断するようにするのが良いでしょう。
離職率を確認する
離職率の高さはブラック企業かどうかを判断する重要な指標になります。
入社後すぐに辞める人が多い職場は、労働環境や待遇に問題がある可能性が高いです。
特に3年以内での離職者が多い場合、職場環境が厳しく、社員が長く働きづらい状況が考えられます。
企業の離職率は、厚生労働省の「雇用動向調査」などで業界平均と比較することもできるため、事前に調べておくのが良いでしょう。
残業時間・残業代を確認する
面接時には、具体的な残業時間や残業代の支給方法をしっかり確認しましょう。
労働基準法では、残業代は法定の割増率で支払われることが義務付けられていますが、ブラック企業では「みなし残業」などで支払いを避けるケースもあります。
また、月の平均残業時間についても質問し、「忙しいときはどのくらい残業が発生するか」を確認しておくと、実態を把握しやすくなります。
この質問に対して返答を曖昧にするようであればブラック企業の可能性を考えるようにしましょう。
有給休暇の取得率を確認する
有給休暇の取得率は、職場の働きやすさを示す指標の一つです。
厚生労働省のガイドラインにより、年次有給休暇は労働者の権利として認められており、取得を理由に不利益を受けることはありません。
さらに有給休暇の対象者は、年5日の取得を義務付けられています。
しかし、ブラック企業では取得しにくい雰囲気があり、ひどいところでは取得を拒否されます。
こんなところに入社してしまわないよう、面接時に「有給休暇の取得率」や「休暇申請の流れ」について質問するとよいでしょう。
希望する時期に有給が取れるかどうかも、健全な企業かを見極める重要なポイントです。
就活・転職エージェントに相談する
転職エージェントは、業界や企業ごとの情報に詳しく、ブラック企業の特徴や注意すべきポイントも熟知しているため、より安全な転職活動をサポートしてくれます。
信頼できる転職エージェントを利用することで、企業の実態や内情についてプロのアドバイスをもらうことができます。
「どのような企業がブラックか分からない」「企業分析に自信がない」という方には、エージェントから客観的な情報や求人の紹介を受けることでスムーズな就活・転職に繋がるでしょう。
ブラック企業に入社してしまったらどうする?
「気づいたらブラック企業だった…」と、すでにブラック企業に入社してしまった人はどのようにすれば良いでしょうか。
心身の健康を脅かす可能性のあるブラック企業は、すぐに退職・転職の準備をしても大丈夫です。
以下の点に留意して準備を進めることをおすすめします。
理想は転職先が決まってからの退職
経済的な不安を避けるためにも、次の職場が決まってから退職するのが理想的です。
転職活動を並行して行い、内定が決まってから退職の手続きを始めると、収入や社会保険のの空白期間がなく安心です。
次の職場が決まるまでは、転職エージェントや知人に協力を仰ぐなど、積極的に情報収集をしましょう。
業務の引き継ぎを進める
退職の意向を伝える前に、引き継ぎの準備や担当業務の整理を行いましょう。
特にブラック企業は退職時のトラブルも起こりがちなので、文書やメールなどで仕事の進捗をまとめ、必要に応じて証拠を残しておくと良いでしょう。
法律上の権利を知っておく
ブラック企業の中には、退職を引き止めるために「退職させない」「脅す」「有給消化を認めない」といった圧力をかける場合があります。
しかし、退職は労働者の権利であり、法律で守られています。
退職の意思を伝える際には、口頭だけでなく書面やメールで伝えると証拠も残せるのでおすすめです。
退職代行サービスの利用もあり
どうしても退職を阻まれるような場合や、退職のやりとりに不安のある場合は、退職代行サービスを利用するのも一つの手段です。
退職代行サービスを使うと、退職の手続きを代わりに行ってくれるため、企業と直接やりとりする必要がなくなり、希望日に退職できる確率が非常に高まります。
まとめ|ブラック企業体験談
ブラック企業に入った人の体験談や特徴などについてまとめましたが、いかがでしたか。
ブラック企業に入らないためには、自分のキャリアプランを明確にし、自信が持てるスキルや実績を作っておくことも一つの手です。
入社後にブラック企業だと分かった場合は、心身に悪影響が及んでしまう前に、早めの行動と慎重な転職活動が大切です。